- 2014.09.04
- コラム
Andy Wada’ s point of view – アンディー和田の視点 No.2
皆さんご存じ石川選手の2007年「マンシングウェアオープン KSBカップ」でのアマチュアとしてのツアー初優勝は15歳245日のときでした。
今回は小学生や中学生の時に彼がどんな練習をして上達したのか、どんな憧れを持っていたか? そして現在ジュニアゴルファーとして頑張っている選手やそのご両親へメッセージを聞く事ができたのでご紹介いたします。
小学校の頃はゴルフ以外にもサッカーや水泳をやっていた石川選手はタイガー・ウッズやジャンボ尾崎さんの「かっこいい」所に惹かれたそうです。
小学校2年生の時にはお父さんと男子プロの試合に行き、お父さんとは別行動で18ホールずっとジャンボ尾崎さんの組を追いかけてプレー振りを観察、醸し出す「オーラ」に魅了され、将来はああいうかっこいいプロゴルファーになりたいという夢を
抱いたということです。
タイガーとジャンボさん・・・「子供心ながらゴルフがかっこよく見えたんですよ、もしあの2人がゴルフ界にいなかったら、果たしてあのときゴルフが格好良く見えたかどうか、疑問です。
ああなりたいと純粋に思いました」と語ってくれました。
初めて試合に出た小学生3年生の時はレディスティーから110ぐらいのスコアーだっと振り返る石川選手、中学1年生の時に出場した日本ジュニアゴルフ協会(JJGA)のスプリングジュニアゴルフ選手権(12-14歳の部)で2位に入賞。
その結果で7月には海外派遣選手として初めて海外の大会に出場をする事ができました。
アメリカンジュニアゴルフ協会(AJGA)の中でもトップレベルのジュニアが出場する「HP Boys Championship」、会場は毎年3月にアーノルド・パーマー氏がホスト役を務めPGAツアー競技が開催されるベイヒル クラブ&ロッジでした。
http://jjga.org/_common/pdf/dispatch/2004/hpboys.pdf
石川選手はまだ12歳。
16-18歳が多かった選抜選手の中に入り学んだことは多かったようです。
下記のインタビューは3月のツアー競技中に話してくれました時の会話です。
ちなみに今年は6回目の挑戦で8位タイと初めてのトップ10フィニッシュを果たしています。
和田: ベイヒルというのはジュニア時代、中学1年のに来られたと聞いてますけれど、石川選手にとっては特別な場所ですか?
石川: 特別ですね、正直まだ誰にも言ってないんですけど僕のゴルフを変えてくれたコースなんじゃないかと思います。
まぁ中学1年生でまだ身長も150ちょっとしかなかったんですけど、その当時僕は飛距離も出なかったので、とにかくパーを拾うっていうことで必死でした。
でも一緒に回って選手たちは高校生だったんですけど、バーディーを取りにゴルフをしているっていうイメージがとにかく強くて、AJGAの試合の一週間で自分が変わりました。
その時は日本は夏休み、ジュニアの大きな大会が日本で行われててその同じ週だったんですけど、アメリカの試合に行ってみたかったんです
和田:そのとき将来は、アメリカ、PGAツアーのメンバーとしてやりたいという夢、目標を抱いたのですか?
石川: そうですね、本気でそう思えたというのがありますかね。
肌で感じてやっぱアメリカってすごいなって単純に思いました。
それまではボギーを打たないように、ボギーを打たないようにゴルフをしてた自分が、日本に帰ったらバーディーとんなきゃ意味無いんだって感じで、バーディー取れなかったらパーもボギーもダボも同じくらいな感じでゴルフをやってる自分がいて、非常に驚きでしたね
この後もJJGA派遣選手としてはアリゾナ州(2005年、2006年)やノーススカロライナ州(2006年)、ジョージア州(2006年)など試合経験を積みながら芝から打てるアメリカの練習環境や一日練習できるアプローチ専用エリアなど興味を持つようになったということです。
その経験が2007年の日本ツアーでの初優勝に活きたのではないでしょうか。
練習時、スイングを考えることの楽しさは試合なみに楽しいそうです。
上手くなりたい、強くなりたいと研究する。
教えてもらうのではなく自分で考えるから忘れずに自分の物になっていくということです。
ジュニア時代を振り返り石川選手は 「JJGAの大会があって(派遣選手として)アメリカに来られたので本当に感謝している」と話していましたが、プロ転向後、直ぐに自らの名前を冠にした「石川遼 カップ ジュニアゴルフチャンピオンシップ」を開催。
より多くのチャンスをジュニアゴルフアーが経験してもらえればと協力を続けています。
その大会では毎年ビデオレターを通じて選手やご両親にメッセージを伝えるそうですが、石川選手が想う重要なポイントはへーそうなんだ・・・と意外に思える点がいくつかありました。
ジュニアゴルファー達にはスコアー、順位など結果を気にせずに試合を楽しんで欲しいんです。
スコアーばかりを考えるとゴルフのスケールが小さくなってしまうし、試合が楽しめないはず。
当時は試合に出て日本全国の友達と会って競い合える楽しさが一番でした。
練習は常に厳しく続けることが大事。
僕のお父さんからは練習場からの帰りに怒られた時は多かったですが、試合の帰りの車でスコアーや順位に関して一度も怒られたことはないんです。
練習していて「やる気無かっただろう」と注意は良くされました。
しかし大会の後は「試合は楽しかったか?」 という会話になり、もし結果が良くなければ、「しょうがないね、練習場行くか・・」って感じです。
他の選手達は 石川は何で「85」も叩いてあんなハッピーなんだろうって驚いたこともあったはずですよ。
だからゴルフの試合が好きだし、今でもその気持ちは変わらないです。
注意しないといけないのは スコアーや結果が良くないと調子が悪いと決めつけて怒ってしまうご両親や監督など。
過去に一緒に回っていた選手が結果が悪くと本当にやつれた顔で18番ホールを上がって来てその後親子喧嘩になるケースも見ました。
更には「ずる」をしてしまうジュニアも実際に見たことがあります。
結果ばかりを気にすると子供達は縛られて試合の楽しさを感じる事ができなくなってしまうでしょう。
試合ではどんなスコアー、順位でもいい、ご両親には子供達をのびのびとコースに送り出して欲しいんです。
練習を厳しく積んで、試合では純粋に楽しんで欲しい。
日本はもちろん、アメリカPGAツアーでファンを魅了する石川選手の攻めのプレースタイルはジュニア時代から造り上げてきたもの。
プロとして「かっこいい」と感じさせる空気感を出し、結果を怖がらずにバーディーを狙う姿勢、トラブルから脱出も予想しないルートを探してチャレンジ精神。
ジュニアゴルファーや次の世代への選手への話になると更に熱い眼差しで長い時間を費やして話してくれる石川選手、ジュニアゴルファーよりもご両親や指導者の方に競技会での心得えを理解してもらい大会に出場する選手達の可能性、ポテンシャルを伸ばすように示して欲しいというメッセージが込められているようでした。
アンディー和田 1968年生まれ。 14歳で渡米、南カリフォルニアでゴルフを始めてアリゾナ大学に進学。 卒業後は1991年にプロ転向しアメリカ国内のミニツアーやカナダ・南米・豪州・アジアなど世界25ヶ国でプロの試合を経験。 青木功や中嶋常幸、大町昭義など米ツアーでのキャディーの経験もあり。 2000年からはゴルフチャンネルでトーナメント解説者に転職。 欧州ツアーやLPGAツアー、アメリカ2部ツアーなどどんなツアーにも詳しい解説アナリスト、コメンテーター。 |